金沢の風物詩からの考案された紋様シリーズ
尾山神社
明治6年に創建された尾山神社。境内摂社の金谷神社には、加賀藩藩祖前田利家をはじめ、歴代藩主が祀られています。作品のモチーフである神門は、津田吉之助の設計施工により明治8年に完成。最上階には色ガラスがはめられたこの正門は、灯台の役割をも果たしていたと伝えられています。
雪吊りに雪輪
兼六園では毎年十一月、名木「唐崎の松」から雪吊りが始まります。樹木に積もる雪で枝が折れないよう縄で枝を保持するために、兼六園では、一千本近い樹に雪吊りを施します。雪輪紋は外郭の形が雪の結晶で日本の伝統文様です。その内側に天から見た雪吊りが少し斜めにあしらわれています。
地元の季節のお菓子「氷室饅頭」にも雪輪をあしらった意匠のものがあります。「氷室」の文字の周りに、雪輪が見られます。加賀藩では旧暦6月1日に、「氷室」と呼ばれる氷の保冷庫から「雪氷」を取り出して、江戸の徳川将軍家へ氷を献上する慣習がありました。その際に、無病息災を願って食べていたおまんじゅうです。今でも金沢の人々は、7月1日が近づくと、各店で売り出された氷室饅頭を味わい、お気に入りの饅頭店を見つけたり、互いに交換したりして季節を楽しみます。