明治時代に建てられ旧街道の町家です。
桶屋や鍛冶屋などの商店が曲がりくねった道沿い並んでいたこの旧街道は、金沢五社の椿原天満宮に続きます。この家も、もとは古物を商うお店でした。その面影を残して一階は土間のままです。
金沢城にほど近い、このあたりの旧町名は独特です。藩の行列の際に、その身のまわり品の茶弁当、矢箱、提灯などを運ぶ「御小人」という役割の人たちに与えられた場所(組地)だったことから「御小人町(おこびとまち)」と呼ばれたところをはじめ、「裏御小人町」「火除町(ひよけまち)」「銀杏町(ぎんなんちょう)」「柿木町(かきのきまち)」「板前町」といった旧町名がまわりを囲みます。整備された標柱にそうした案内がされており、歴史ある町に暮らす楽しさを味わえる場所です。金沢観光というと駅周辺と東西の茶屋街が連想されがちですが、「こまちなみ」として市に保存指定されたこの扇町・天神町エリアは、少しづつ改築が進んでいる地帯でもあり、知る人ぞ知る風情あるとおりです。金沢マラソンのコースにもなっています。
ごく一般の商家だったということで、「立派オシ」の町家ではありません。生かせる雰囲気を残して、基本的には総改修をお願いします。昭和の増築と思われる付け足しの台所部分を撤去すると、後ろの庭部分が広くなります。典型的な細い長方形の町家の敷地です。特に歴史にこだわらなくても、公園まで歩いて1分、スーパーは目の前、大病院がそれぞれ10分ほどということで、普通に住むにも便利な場所です。月極駐車場は近隣でということになりますが、比較的確保はしやすい場所です。
フローリングのモダンな住宅にするもよし、お店やアトリエにするもよし。もう少し先に行くと、一棟貸旅館として運用されている町家もありますので、近隣の方とのお話合いがつけば宿泊施設への転用もできるかもしれません。町家と町並み保存にご協力いただける新オーナー様をお待ちしています。