昭和19年(1944年)の新築と記録されていますが、玄関から奥の部屋までスッキリきれいな古民家です。2018年までの数年間はカフェレストランとして利用されており、当時の開店にあたり、壁や床は修繕されたそうです。水回りは古いものの、長年使用されなかった空き家に比べると、かなり状態がよいと言えます。改修工事も含めて低予算という方にはうれしい古民家です。
土地建物は、メインの通りから幅2メートルの既存道路を入った、1本うら側に位置しています。細い道路ですが直線なので、普通車なら家の前の屋根付きカーポートに駐車できます。そう聞いて自ら車で進入しましたが、たしかに切り返しをすればOK、慣れれば楽になるでしょう。カーポートの後ろには2階建ての納屋と土蔵があり、物置きとして十分使えます。
「使っていないし、何もないよ~。こんなところを見たいの?」というオーナー様に、「ぜひ見せてください」とお願いして撮影者とともに屋根裏(小屋裏)を拝見。外観からの期待どおり、すばらしい梁がありました。すぐに使えるきれいな部分と、原形のよくわかる素材部分と、両方の良さを持つ家です。
オーナー様は隣地で太陽光発電を行っています。2035年までは送電のために小型の機械(大きさは30× 30 × 30cm 以下のルーター)とケーブルの一部を本建物内の目立たないところ設置しておくことが必要であり、その容認が販売条件となります。ただしその占有料として、向こう5年間は Wi-Fi 使用料が無料となります。
場所は中能登町の旧住宅街の中心といえます。古民家が立ち並び、斜め向かいは代々織物業を営み海外への販路拡大にも寄与し、財を成したという丹後家の邸宅だった農家古民家で、今は見学や居室の利用ができる公共施設としてなっています。そのような素晴らしい家のある界隈で、町をあげて保存地区とする話もあります。歩いて坂を上り3分ほどで神社で、こちらも「ばっこ祭り」という歴史ある祭りのなされる社です。JRの駅へも、徒歩12分。「駅徒歩12分の古民家」は、なかなかありません。
冒頭のレストランは繁盛店で、事業拡大のためにはこちらが手狭となられたとのこと。町の新たな場所へとご移転されて、元気にご事業なされています。屋根の飾り瓦としてニッコリの恵比寿様が、次に見守るべき利用者の方をお待ちしています。