じつに美しい家です。

町家らしい顔ですが、室内外の有り様にも外観を上回る魅力があります。家全体に、あたたかく穏やかなファミリーヒストリーが映し出されています。

建物の雰囲気が少し地域とは異なると感じていたら、売主様から「この家は昭和大通りの開通にあたって、通りの反対側から曳家されてこの地にやってきたようなのです」とのお話があり驚きました。調べると、たしかにこの家の築年は大正15年、そして建物閉鎖謄本にも「昭和壱五年曳行移転」という文字が見て取れました。

昭和中期にご購入後、3世代にわたってお住まいをされていた家ですが、建具はご指名の建具屋さんにいつも調整をおねがいしていたそうです。貴重な結霜ガラスの残存数といい、襖の引き手の竹の意匠はじめ細かいところに技があり、部分のひとつひとつにハッとします。この町家の建築意匠を守りつつ、暮らしやすくするために清潔な水回りに更新して、それぞれが現役としてつい近年まで生かされていたのです。

大通りからわずかだけ入ったこの小路ですが、お向かいも町家で、見える窓越しの風景に違和感がありません。学校、バス停、ドラッグストア、観光地どれも近いので、お住まいにも旅館業やビジネスにも、利用できます。街なかでありながら、蔵が大きく立派ですばらしい状態ですので、音楽室などにもお使いいただけたらと思います。

状態が良好なので改修工事費用も抑えられそうですが、現状でのお渡しですので、目的に合わせた総額でご予算をお考えください。ご融資の相談先も、ご紹介いたします。